PC で全ての動画・音声を再生できるコーデックの準備


最終更新:2019/3/10
投稿日:2013/10/28
前置き
PC を使いこなす上で大半の方が苦労するのが 動画・映像・画像・音声 ファイルの表示や再生環境の構築です。
Windows の初期状態ではライセンスの問題から極一部のファイルタイプしか再生できず、まともにメディアファイルを楽しむことはできません。
定期的に見たことのない拡張子に遭遇し、再生する準備で試行錯誤することにストレスを感じている方は多いかと思います。
そういった人達を一括解決に導ける全拡張子対応の再生環境構築がこの記事の目的です。
この記事ではフリーソフトとコーデックだけで構築しています。
有料ソフトなどでお金は使わない内容ですが、その分時間と頭は使います。
本来記事を書く人間は、閲覧者視点で簡潔で読みやすいものを提供することを心掛けるものですが、当サイトは可能な限り万人を解決に導くことだけに重点を置いているサイトなので、流し読みで失敗する人や途中離脱で諦める人のことは一切考慮しておりません。
その上この記事は PC 初級者も方までを対象としているので、中級者以上の方には無駄に余計な説明が多いかと思います。
しっかり学んで確実に基本から解決するスタイルの方にはお役に立てる記事かと思いますが、素早く必要な分だけの答えを探すスタイルの方には相性の悪い記事だと思うので、そういった方は他サイトの目的のコーデックだけの記事を読まれることをおすすめします。
ただその場合、その積み重ねが総合的に PC にトラブルを招き、定期的に再生できないファイルに遭遇している原因であるということだけは助言いたします。
スクロールバーや目次を見た時点で膨大な量の記事だと感じると思いますが、解ってしまえば作業自体は5分程度の内容です。
しっかり理解しながら進めた場合の推定時間は、
動画ファイルの仕組みは解るが、必要なコーデックの入手が解らないといった中級者で1~2時間。
動画ファイルの種類や仕組みからして解らないといった初級者で3~6時間。
「最近 PC 始めました。」という方で半日から1日程度はかかるのではないかと思われます。
本気で一発解決したいのであれば、休みで時間がある日にじっくりと時間をかけて解決されることをおすすめします。
対策の前に二つの確認
基本的に正常なPCであればこの世に再生できないファイルは無く、正しく解決すれば必ず再生できます。
ですが例外が二つだけあり、ファイルが壊れている場合と、PC が壊れているか性能が不足している場合です。
ファイルの破損の確認方法は後に記載します。
PC スペックに関しては、特にノート PC での動画再生などで起こりうる話なのですが、基本的に2019年現在の動画ファイルでは、Windows8 の頃のノート PC 以降の性能があれば、2k(解像度 1920x1080 の FHD(フルハイビジョン)ネット動画では 1080p を意味する)映像までなら再生出来て当たり前かと思います。
それ以上の 4k 映像とかになってくると、古いノートPCでは性能が追い付かない場合が出てきます。
XP Vista 時代の PC ではノートでもデスクトップでも難しいでしょう。
4k 映像などを再生するとフリーズやシャットダウンしても不思議はありません。
Windows8~10時代の PC であれば、余程安価な特殊な PC でもない限りは、どのようなファイルも再生出来て当たり前かと思います。
本格的な解決を望まず簡単に再生を望む人。
ファイルの破損を確認する方法。
Windows に標準搭載の Media Player で全てのファイルの再生を望んだり、独自でコーデックを内蔵しない動画編集ソフトなどを使いたいということであれば、この後説明する PC の環境作りが必要になりますが、PC が苦手な方への救済処置として環境作りをしなくても容易に全てのファイルが再生出来てしまうフリーソフトを紹介します。
「MPC-BE」というフリーソフトでポータブル型(インストール不要で解凍するだけで使用可)もあり、これから説明する競合問題にも影響しないため、ファイルの破損を確認のためにも役に立つので、この記事を読んでいる方はとりあえず入手だけはしておきましょう。
別の記事で「MPC-BE」を紹介してるので、必要な方はこちら↓をご覧下さい。
「Media Player Classic(MPC-HC・MPC-BE)」あらゆるメディアファイルを最も簡単に再生
一応当サイトのバックアップドライブにもポータブル版を保管しています。
ファイル名:MPC-BE.1.5.3.4322.x64.7z(64bit OS 用)
ファイル名:MPC-BE.1.5.3.4322.x86.7z(32bit OS 用)
https://drive.google.com/drive/folders/1qAEwtz3vYIXdaoT-uIc67c_3zjOutJvQ
解凍したら「mpc-be.exe」を立ち上げるだけで使えます。
ウィンドウにファイルを D&D するだけで再生できます。
これで再生できるファイルはファイルが壊れていないことが証明されたことになるので、そのファイルを Windows に標準搭載の Media Player で再生できないのであれば、PC のコーデック不足が証明されたことになります。
ここから先は、Windows に標準搭載の Media Player で全てのファイルの再生できる PC 環境を構築するための解説となります。
それは世に出回ってる様々なプレイヤーよりも Windows Media Player の方が優秀な状態になることを意味します。
編集にも多少は関係しており、内臓コーデックで動くタイプではない編集ソフトの場合、PC そのものにコーデックが必要となるため、これから行う環境作りは編集できるファイルの種類にも影響します。
さて、本題に入りますが、何か一つ抜けても解決失敗に陥る内容なので、流し読みすることなく頑張ってください。
動画ファイルの基礎と種類
まず基礎知識として動画ファイルの種類や PC での動画再生の仕組みを説明します。
動画ファイルには様々な種類があり、Windows の設定がファイルの拡張子を表示する状態になっていれば「abc.avi」のようにファイル形式が表示されます。
この avi などをコンテナと呼び、代表的な種類としては、avi・wmv・mpg・flv・mp4・webm・mkv などがあります。
初期状態の Windows で再生できる種類は少なく Windows XP では wmv だけだった程です。
Windows10 でも初期状態では極一部の形式しか再生できませんが、これはコーデックのライセンスの問題などで、初期状態で組み込むことはできないからです。
このコンテナの中に入っている映像ファイルと音声ファイルにも様々な種類があり、必要とされるコーデックが異なります。
同じ AVI なのに再生できるものとできないものが存在するのは、中身の要求コーデックが異なるからです。
全種類のコンテナとそれに対応した全コーデックとなると、とてつもない種類となります。
例えば全く同じ「映像 H264・音声 Mpeg4」のコンテナが違うだけの AVI と MP4 が存在します。
この AVI と MP4 を再生するには、H264 と Mpeg4 のコーデックが PC に入っていれば良いわけです。
コーデックに対応できていなければ、この AVI と MP4 を Windows Media Player に関連付けたところで、プレイヤーは立ち上がるものの真っ黒のまま何も起きない状態になるわけです。
PC で動画ファイルを見れるようにするということは、対象ファイルをデコード(コーデックを使って解凍し映像にする意味、逆に作成するときはエンコードという)できるコーデックを準備し、コンテナの拡張子をソフトに関連付けすることです。
そして更にもう一つ必要となるのはスプリッターです。
これは映像ファイルと音声ファイルを分離するための物であり、再生に必要である他にエクスプローラー上でのサムネイル表示(縮小表示)に必要となります。
この段階で「コンテナ」「コーデック」「スプリッター」「デコード」「エンコード」の意味が理解できていれば次に進んで下さい。
余計なコーデックやプレイヤーを削除する
後で紹介するコーデックパックを入れる前に、PC の環境整備的な話となります。
PC のコーデックを準備する上で重要なのは、余計な物を入れて競合させないことです。
Windows 初期から入っている動画関連のソフトは Windows Media Player とストアアプリの動画再生ソフトだけです。
例外としてコーデックとは少し異なりますが、ネットで Flash 動画を見るための Adobe Flash Player は必要なので、入っていて問題ありません。
唯一別途入れても良いプレイヤーは、上でも紹介した「MPC-BE」のみです。
これは機能が豊富というわけではなく、逆に Windows Media Player よりもシンプルで軽く、インストール不要で競合の心配がないのが理由です。
自作 PC ではなくメーカー製の PC をお使いの方は、PC 購入時の状態でも PC 内はゴミの山です。
特に大手メーカーの PC となると余計なプログラムがテンコ盛り状態です。
正直なところ自作 PC じゃない人は購入後真っ先にリカバリし、OS と必要なドライバ類だけを入れた状態に正常化し、後から必要なアプリを個別で選別して導入した方が快適だと思います。
余計なプログラムを何故削除するかというと、それらの中にはコーデックも含まれているからです。
他には後から機器を接続する際に、理解せずにドライバとセットで付属ソフトを入れてしまうこともあります。
それらは一見無縁と思われる機器の付属ソフトにも含まれており、
スマートフォン管理ソフト(バックアップや PC でファイルの編集するソフトなど)、
ビデオカメラ編集ソフト(確実に含まれる、PC に取り込むために必須のものは入れなければならない)、
TVチューナー内蔵であれば録画ソフトや編集ソフト(確実に含まれる、録画に必須のソフトは入れるしかない)、
ipod や Walkman の外部メディア接続ソフト(PC に繋いでファイルを操作するため、動画ファイルも扱う品種なら確実に含まれる)、
デジカメ(短いながらも動画が撮影できるため、確実に含まれる)、
といった具合で、何かとコーデックを放り込まれる機会は多いのです。
機器をつないでソフトを入れたらコーデックなど知らない人でも全員が絶対に使えなければならないのですから、メーカー側はコーデックを入れるのは当たり前なのです。
PC に詳しくない人ほどやってしまうミスが、見れない動画ファイルを見るために必要の無いプレイヤーを導入してしまうことです。
代表的な2種は Real Player や QuickTime Player です。
それぞれ専用のファイル形式を再生するためだけにインストールを求められたことかと思います。
どちらも筆者に言わせれば不必要にトラブルのリスクを高めるものでしかありません。
そこから少し知識が付いてきたところで、自分で調べて導入してしまいがちなのが、GOM Player と DivX のプレイヤーなどで、これらも全く必要ありません。
因みに GOM Player は韓国のグレテック社製で、以前公式のアップデートで全世界にウィルスをばら撒いて情報を知ったユーザーは離れましたが、しぶとく生き残っていて困ったものです。
メディアファイルを再生する上で必要なソフトなどありません。
必要なのはコーデック・スプリッターであり、ソフト(プログラム・アプリケーション)ではありません。
但し見るのではなく編集や作成をするのであれば話は別です。
ネットで多く見かける質問は、「動画が見れない」「今まで動画が見れたのに見れなくなった」「縮小版が表示されなくなった」「PC が重くなった」「調子が悪くなった」などです。
アドバイスを貰って解決する可能性があるのは必要な物が揃ってない人で、余計な物を入れてトラブルを招いている人は解決しません。
答えてくれる人も正しい答えに導いてくれる保証は無く「GOM Player 入れれば解決」などと、間違った方向に導く答えが大半です。
正しい知識が無く PC にコーデックを準備してない人が再生できないファイルを観ようとする場合、大抵はその都度必要なソフトを入れていくことになります。
それを続けていけば膨大な量のソフトをインストールすることになり、それらがレジストリの競合を発生するからです。
またそういうタイプの人が膨大な量のソフトを覚え、扱えるとは思えません。
ソフトを一つ入れる度に、オプション設定を全項目確認して自分のPC環境に合わせるのは当然ですが、コーデックの競合を調整となるとレジストリまで弄らなければなりません。
その苦労を考えれば最初から正しい努力をした方が時間と労力を無駄にしません。
ここで余計なソフトの削除を決心さた方に覚えておいて欲しいことがあります。
その考えは正しく筆者もそれをすすめますが、ソフトというのは使ってもらうことと正常に動くことだけを考えて作られており、アンインストールは手抜き(もう客じゃない奴のことは知らない)なものが多いです。
今回の場合心配になるのは、それらのソフトがインストールフォルダにあるファイル群以外の、システムフォルダに入れたコーデックやレジストリの書き込みをしっかり削除してくれるかどうかなのです。
アンインストールしても「〇〇〇.dll」ファイルなどを残し、それを動かすレジストリキーが残されていれば、削除したことにはならないのです。
そうなると手動で探し削除しなければならないのですが、そのスキルが無い人は悪夢の Windows の再インストールということになります。
いきなり再インストールまでする必要はないので、とりあえずは無事全部消されることを祈ってアンインストールして先に進んで下さい。
全てやり終えた後に再生トラブルを抱えているようであれば、このことを思い出してください。
削除対象となるのは、インストーラーで自動でインストールされたものです。
フリーソフトなどで解凍しただけで使えるソフトは、そのフォルダ内に独自のファイルがあるだけでレジストリにコーデック情報を書き込んだりはしないので心配要りません。
つまり大手メーカーのソフトや BD ドライブなどに付属しているソフトこそが癌で、主な mpeg・m2ts・vob あたりのトラブルはここが原因なのが大半です。
この段階で、ソフトやプレイヤーを数多く入れるほどレジストリで競合が発生し、コーデック全ての種類に対して使用する優先順位をレジストリで指定しなければならないが、そのスキルを持たない人はトラブルを抱え、それは質問掲示板で誰かに尋ねても解決してもらえる深さの話ではないことを理解し、この後の工程を全て終えても解決しなかった場合はここに原因があることを理解出来たら次にお進みください。
コーデックパックとスプリッター
ここからは予備知識を備え PC の掃除が完了し、導入準備が整った人が進む段階となります。
筆者がおすすめするのは、あらゆる種類の動画ファイルを用意して再生の可否を確認しながら、コーデック類を優先順位の高い順から一つずつ入れていくことです。
それぞれの形式に合ったコーデックを必要な物だけ集めて単独で入れていくのは理想的ですが、余程動画ファイルに詳しい人でもない限り非現実的です。
そこで様々なコーデックを一まとめにした DirectShow フィルターというものをベースとして導入します。
現在ではこの DirectShow フィルターには2種類あり、「ffdshow」と「LAV Filters」があります。
当サイトでは ffdshow をベースに説明していますが、ffdshow が相性が悪い人は LAV Filters に置き換えてもらっても何も問題はありません。
ffdshow
最も有名で安定していて動作が軽いのは「ffdshow」です。
最初から日本語にも対応しています。
しかしながら ffdshow はスプリッターが含まれておりません。
そこで何も入っていない状態からベースに ffdshow を導入し、準備しておいたあらゆる動画ファイルの再生可否とサムネイルの表示を確認します。
表示されないファイル形式に対応したスプリッターを個別で導入していきます。
ダウンロードリンクはセットアップの項にて。
LAV Filters
LAV Filters の大きな特徴はスプリッターも含まれていることです。
日本語には対応していませんが、有志から日本語化パッチが公開されています。
現在も開発が続いており、今後 ffdshow の開発が無いようであれば当サイトとしてもこちらに切り替えざるを得ないのですが、現時点でこちらをベースにしていないのは、肝心な DirectShow フィルターの弱さです。
筆者がテストしたところでは、ffdshow を 100 とすれば 90~95 再生できるといった具合です。
多くのフリーソフトなどは ffdshow を導入の前提でプログラムされていることもあり、その辺りも少々困ることもあります。
ですが他のパックと違い余計な物を入れ過ぎたり、アンインストール後にゴミを残すようなことはないので、 ffdshow が相性が悪い人は気軽に試しても問題ありません。
ffdshow と両方入れて共存させることは絶対にやってはいけません。
レジストリを調整し競合の優先順位を自分でコントロールできる方でなければトラブルの原因になります。
LAV Filters 公式サイト
開発:Hendrik Leppkes
http://1f0.de/
日本語化パッチ
開発:katgum
https://www.nihongoka.com/
コーデックパックは必要無い
ネットで検索すると他にも有名なコーデックパックが出てきます。
K-Lite Codec Pack
Advanced Codecs
CCCP Combined Community Codec Pack
などはおすすめできませんが、検索でよく出てくることもあり個別に補足説明します。
CCCP Combined Community Codec Pack
Window7 時代の頃までは結構広まっていたコーデックパックですが、その中身は ffdshow をはじめとする個別にリリースされてるコーデック類を寄せ集めただけのも。
現在は公式サイトも消滅しており、アップローダーなどに古いファイルが残っているだけとなっている。
最終バージョンの中身は、
ffdshow
FLV Splitter
CoreWavPack
MPEG-2デコーダ
VSFilter
Haali Media Splitter
Media Player Classic
Zoom Player
となっており、ご覧のとおり中身が XP 時代の構成ですし、そもそもインストーラーは Windows10 に対応していない(7と10ではレジストリもフォルダ構成も異なる)ので絶対に入れてはいけない。
Advanced Codecs
こちらも CCCP 同様 ffdshow をベースにその他コーデックを寄せ集めたもの。
その寄せ集めたコーデックの量がとてつもなく、この世のどこで使われているのかわからないようなコーデックが大量に含まれており、インストールされるものは軽く40種類を超える。
コーデックパックとしても魅力は無いが、このコーデックパックには大きな問題がありアドウェアが仕込まれている。
インストールする際におすすめされるソフトはチェックを外せばインストールされないが、詳しくない人はそのソフトがコーデックの一部なのかどうかが判断できない。
更に余計なものすべてのチェックを外してもいくつか強制的に PC 内に入り込み、PC 内を調べ続けるようになり、その結果を元に広告を表示してくる。
アドウェアに感染したくなければ絶対にインストールしてはいけない。
K-Lite Codec Pack
上記二つとは全く違い結構質の良いコーデックパックで、現在も開発というか詰め合わせチューニングは続いている。
ffdshow ベースではなく LAV Filters がベースとなっている。
ユーザーに合わせたパック内容が用意されており、Basic 版、Standard 版、Full 版、Mega 版、が用意されている。
主な内容は次のような構成となっている。
DirectShow フィルター
Video for Windows コーデック
Audio Compression Manager コーデック
Media Player Classic - Home Cinema
MadVR
MediaInfo Lite
GraphStudioNext
動画を再生するためのコーデック以外にも色々詰め込まれているため、素人向けに何でも詰め込んだために逆に扱いにくい物になってしまっています。
一括で入れてしまうが故にコーデックの知識がそれなりになければ、セッティングをしたい際に何を立ち上げればよいのかもわからない状態になるかと思います。
LAV Filters 自体公式から最新のものを入れた方がいいですし、その他の物も必要な物だけ効果を理解した上でインストールした方がコーデックの理解につながります。
この段階で、ソフトだけではなくコーデックパックなども余計なものは全部削除する必要があることを理解できた方は次にお進みください。
これ以降記事最後まで設定に関する話になりますが、当然 PC 環境により違った結果も起こりますので、あくまで筆者の経験上の選択と捉えて下さい。
筆者が「ここの設定はこれにした場合こうなるから良くない」としていても、あなたの環境では全く逆でそれが良い選択の場合もあります。
トラブルがあった際には筆者が良くないという設定も試してみて下さい。
一応経験を元に多くの PC でこういう結果になるだろうと思われる内容のみ記載していますが、ハードウェアよりもその他のソフトウェアのインストール環境により大きく結果が異なる方もいらっしゃるかと思います。
ffdshow のインストール
まず公式サイトからダウンロードします。
ダウンロードページから最新又はダウンロード数が多いものを選んで下さい。
筆者が使用しているのは rev4533_20140929 です。
32bit OS の方は、x64 の表記が含まれてない物だけをインストールします。
ffdshow_rev4533_20140929_clsid.exe
64bit OS の方は、x64 と書かれているものと書かれていない物を両方をインストールします。
ffdshow_rev4533_20140929_clsid.exe
ffdshow_rev4533_20140929_clsid_x64.exe
64bit OS であっても、使用するアプリケーションが 64 と 32 の両方があるためです。
ffdshow 公式サイト
https://sourceforge.net/projects/ffdshow-tryout/
サイトが解りにくいと思うので、当サイトのバックアップドライブにも置いておきます。
https://drive.google.com/drive/folders/1qAEwtz3vYIXdaoT-uIc67c_3zjOutJvQ
もしもまだ Windows XP 環境の方は、最新の物は不安定です。
筆者が順に検証した結果トラブルフリーで最も新しいものは次のリンク先にある、
http://sourceforge.net/projects/ffdshow-tryout/files/SVN%20builds%20by%20clsid/generic%20builds/
ffdshow_rev4525_20131117_clsid.exe
というバージョンです。
いつ消えてなくなるかわからないので当サイトのバックアップドライブにも置いてます。
インストール時にチェック項目があるページが2回出てきます。
最初の選択画面はデフォルトのままでも構いません。
DXVA ビデオデコーダーはグラフィックカードの処理の関係に影響するものなのですが、DXVA と聞いて意味がわかる人で無ければ入れてもトラブルの原因になるだけです。
2回目の選択ページは後から設定画面で変えれる項目なのでここでは何もしなくても構いませんが、ここで済ませてしまうのであれば MPEG1 と MPEG2 をチェックし「libmpeg2」を選択します。
他の項目は全て「libavcodec」で良いのですが、Mpeg だけは「libmpeg2」の方が安定します。
libavcodec だとカットシーンに mpeg ムービーが使われるような古いゲームでは DirectX との絡みでエラーを引き起こすので、確実にゲームがクラッシュします。場合によっては OS ごとブルースクリーンもありえます。筆者が解析して特定したので確信はありますがその詳細はここでは略します。
ビデオ・オーディオ・VFW の設定
インストール後にスタートメニューからビデオとオーディオと VFW の設定画面を開きます。
64bit 環境の方は、32bit 版と両方に同じ設定を行う必要があります。
また 64bit 版の方には VFW の設定はありません。
- ビデオの設定
- デフォルトをベースに MPEG 系3項目を「libmpeg2」に設定します。
「無効」の場合は別途 MPEG コーデックを入れてない限りは再生できません。
「libavcodec」の場合も再生できない MPEG が確実に数種存在します。
いきなり全部を libavcodec にするのはおすすめできません。再生の可否を確認しながら一つずつ進めて下さい。
項目によっては libavcodec が無い物もありますが、大体見たら判断できると思うので臨機応変に試して下さい。 - オーディオの設定
- MP1・2 と MP3 を「libmad」にします。
「無効」の場合は別途 MPEG コーデックを入れてない限りは再生できません。
「libavcodec」の場合は AVI で音声 MPEG などのファイルはまず再生できません。
ネットで拾った FLV 動画は「映像 VP6・音声 MP3」というファイルが多いのでここの設定は重要で、FLV 関連のトラブルは FLV スプリッターの問題ではなく大半の原因はここだったりします。 - VFWの設定
- デコーダータブのコーデックの一覧にある全ての形式を「無効」に設定して下さい。
Real と QuickTime はそれぞれ何項目かあるので、ビデオとオーディオをセットで必要ならチェックしましょう。
他には余計なチェックはしないで下さい、FLV と全く関係の無いものにチェックを付けたら一部の FLV が見れなくなるということも起こります。
こういう設定は事前に全てONにしておく物ではなく、必要になってから一つずつチェックを増やしていくものなのです。
VFW の設定を何故全て無効にするのか
プレイヤーで再生することには無関係で、動画を作成する際に大きく影響します。
例えばエンコードソフトで動画を変換するときや、キャプチャソフトで動画を撮影する際に影響があります。
大抵のソフトは自分が役割を果たすための必要コーデックを持っているので、VFW が有効になっているとそれらを妨害してしまうのです。
VFW の使い方は、何かのソフトで編集する際に DivX が処理できなければ DivX にチェックを付けて試してみて、効果があればそのままで、効果が無ければ元に戻しておく、そういった使い方をお勧めします。
webmdshow のインストール
以前はこれは無かったのですが、Youtube が H264 から VP9 に移行を始めたこともあって、ユーザーもここを準備万全に備える必要が出てきました。
拡張子 webm とはじめとする、コーデック VP9 の環境を強化します。
インストーラーは一つで 64 32 両方に対応してます。
「webmdshow-1.0.4.1.zip」をダウンロードして解凍したら、「install_webmdshow.exe」を実行するだけです。
webmdshow 公式サイト
https://www.webmproject.org/
この公式サイトはレイアウトが意地悪すぎますね。
ファイルまで辿り着けない人が多いと思うので置いておきます。
ファイル名:webmdshow-1.0.4.1.zip
https://drive.google.com/drive/folders/1qAEwtz3vYIXdaoT-uIc67c_3zjOutJvQ
Haali Media Splitter のインストール
Windows10 の方は H264 と Matroska に標準対応なので基本的には必要ありませんが、入れない場合は音声ファイル「ogg」は Windows Media Player では再生できず、MPC-BE を使うことになります。
入れておいた方が確実であることには変わりませんが、その場合は以下の画像のチェック項目から更に MP4 もチェックを外した方が良いかと思います。
古い OS で MP4 や Metroska mkv などが再生できない場合に必須となります。
主に Matroska コーデックに対応するもので、カバー範囲は Matroska・MP4・AVI・OGG/OGM・Mpeg-TS・Mpeg-PS と広範囲にわたります。
Haali Media Splitter 公式サイト
ファイル名:MatroskaSplitter.exe
http://haali.su/mkv/
公式サイトの更新が長年止まっており消滅の不安を感じるため、当サイトのバックアップドライブにも置いておきます。
ファイル名:MatroskaSplitter.exe
https://drive.google.com/drive/folders/1qAEwtz3vYIXdaoT-uIc67c_3zjOutJvQ
インストール時の選択は以下のように設定します。
インストール後は特に設定は必要ありません。
上の2つのチェック項目は Media Player Classic の内臓コーデックを無効にするものです。
ここで無効にしてしまうと有効にしたいときに困るので、無効にするとしてもそれは Media Player Classic の設定で行うべきです。
その他は基本的に初期状態のままがお勧めです。
Mpeg-PS はチェックした場合、ゲームの mpeg ファイルを使ったムービーシーンなどでエラーが出る確率が高いです。
チェックしなかった場合は音声ファイルが AC3 の Mpeg-PS ファイルでサムネイルが表示されない確率が高いです。
AVI はチェックしない方が良いです。
動画の再生にトラブルを引き起こす場合があります。
拡張子 AVI・映像 DivX・音声 MPEG のような構成に弱く、音ずれや映像のコマ送り減少が発生します。
FLVSplitter のインストール
この段階で残るのは flv のみだと思います。
こちらのスプリッターで flv に対応させます。
FLV Splitter には大きく4系統が存在しますが、こちらが一番安定するタイプです。
公式サイトではなくダウンロードサイトしかありません。
ファイル名:FLVSplitter_20090428
http://sourceforge.jp/projects/sfnet_guliverkli2/downloads/DirectShow%20Filters/FLV%20Splitter%201.0.0.5/FLVSplitter_20090428.zip/
いつ消滅するかわからないサイトなので、当サイトのバックアップドライブにも置いておきます。
ファイル名:FLVSplitter_20090428
https://drive.google.com/drive/folders/1qAEwtz3vYIXdaoT-uIc67c_3zjOutJvQ
インストールの手順が特殊なので上のリンクに bat ファイルを置いておきます。
32bit OS の場合はファイル名:Regist_FLVSplitter.bat
64bit OS の場合はファイル名:Regist_FLVSplitter_64.bat
以下各種 OS でのインストール方法を説明しますが、その通りにやるなら bat ファイルは使いません。
もしコマンドプロントが解らなかったり、うまく使えない人は bat ファイルを使って下さい。
その場合は先に FLVSplitter.ax を移動しておくことをお忘れなく。
bat ファイルを右クリックし「管理者として実行」を選択するだけで終わります。
XP のインストール方法
解凍したファイル内の FLVSplitter.ax をシステムフォルダ「C:\WINDOWS\system32」にコピーします。
XP はスタートメニューから「ファイル名を指定して実行」を選択し、ファイル名を指定して実行ダイアログを表示させます。
そこに「regsvr32.exe FLVSplitter.ax」と入力し[OK]を押します。
「FLVSplitter.ax の DllRegisterServer は成功しました。」と表示されればインストール完了です。
Vista のインストール方法
解凍したファイル内のFLVSplitter.axをシステムフォルダ、32bit は「C:\WINDOWS\system32」、64bit は「C:\Windows\SysWOW64」にコピーします。
「スタート」→「すべてのプログラム」→「アクセサリ」→「コマンド プロンプト」を右クリックして「管理者として実行」をクリックし、「管理者:コマンド プロンプト」を表示させます。
32bitの方は「regsvr32.exe FLVSplitter.ax」と入力し[OK]を押します。
64bitの方は「regsvr32 C:\Windows\sysWOW64\FLVSplitter.ax」と入力し[OK]を押します。
「FLVSplitter.ax の DllRegisterServer は成功しました。」と表示されればインストール完了です。
7 以降のインストール方法
解凍したファイル内のFLVSplitter.axをシステムフォルダ、32bit は「C:\WINDOWS\system32」、64bit は「C:\Windows\SysWOW64」にコピーします。
「スタート」→「すべてのプログラム」→「アクセサリ」→「コマンド プロンプト」を右クリックして「管理者として実行」をクリックし、「管理者:コマンド プロンプト」を表示させます。
32bitの方は「regsvr32.exe FLVSplitter.ax」と入力し[OK]を押します。
64bitの方は「regsvr32 C:\Windows\sysWOW64\FLVSplitter.ax」と入力し[OK]を押します。
「FLVSplitter.ax の DllRegisterServer は成功しました。」と表示されればインストール完了です。
QuickTime Alternative のインストール
アップルの Quick Time という拡張子「MOV」のファイルを再生するための物ですが、恐らくこれを入れなくても既に再生できる状態になっているはずです。
もし再生できなくて困るようであればこれで更に万全な状態にするわけですが、当サイトでは非推奨です。
Quick Time の詳細説明でも書いたように、正式には Windows のサポートが終了しており Windows 用 Quick Time Player は存在しない状態です。
今後というか既に消えたようなコーデックなので対応の必要はないと思われますが、昔保存したファイルの再生などであれば MPC-BE で再生できるのでそれで妥協することをおすすめします。
もしどうしても入れるのであれば、このインストーラーはコーデック本体以外に余計な物を大量にインストールするので、インストーラーのチェック項目で本体以外は全てチェックを外して下さい。
ブラウザのプラグインなどもあるため全部入れるのはリスクが高すぎます。
非推奨なので当サイトではリンクは張りませんので、「QuickTime Alternative」で検索して入手してください。
Real Alternative のインストール
Real Media の「.rm」と「.rmvb」に対応するためのものですが、Real Media の詳細説明でも書いたように今更対応する必要のないコーデックです。
当サイトではこれをインストールすることは非推奨です。
昔保存したファイルの再生などであれば MPC-BE で再生できるのでそれで妥協することをおすすめします。
もしどうしても入れるのであれば、Real Player を入れるぐらいならこのコーデックだけを入れる方が遥かに良いのですが、このインストーラーはコーデック本体以外に余計な物を大量にインストールするので、インストーラーのチェック項目で本体以外は全てチェックを外して下さい。
ブラウザのプラグインなどもあるため全部入れるのはリスクが高すぎます。
因みに詳細説明で書いた権利問題で訴えられたのはこのソフトの作者さんです。
もしこのソフトでうまく再生できない場合(無いと思いますが)は、「RealMediaSplitter」というのもあります。
こちらは FLVSplitter と同様にインストール作業に一癖あるものなので、Windows10 環境でのインストール方法を良く学んでから実行してください。
「Real Alternative」も「RealMediaSplitter」も当サイトでは非推奨のためリンクを張りませんので、検索して入手して下さい。
Win7DSFilterTweaker のインストール
この時点で全てのファイルが再生できていなければなりませんが、もし正常じゃないファイル形式があった場合は、OS 内蔵のデコーダーと ffdshow の優先順位を調整します。
「Win7DSFilterTweaker」というフリーソフトで可能なので、以下のページをご覧ください。
「Win7DSFilterTweaker」映像と音声ファイルのデフォルトデコーダーを変更
操作は使いたいデコーダーを選択するだけです。
まっさらな Windows10 にこのページで書いてるとおりにセットした場合の適切と思われる設定は以下の画像のとおりです。
サムネイル表示 Media Preview のインストール
エクスプローラーでサムネイル表示がされない場合は、「Media Preview」というフリーソフトを導入することでサムネイルが表示されます。
アップデートが止まっており最新のコーデックで対応できてない物もありますが、今後アップデートされることを祈るしかありません。
このソフトの最終更新以後に登場した「VP9」コーデックには対応していません。
海外の人は存在も知らない日本独自の拡張子「VRO」には当然対応していません。
Media Preview に関しては別の記事で紹介してるので、こちら↓の記事をご覧下さい。
「Media Preview」全ての画像や動画ファイルのサムネイルを表示できるソフト
XP の場合
XP の場合は必要なものを全て入れていてもレジストリで有効にする項目が無ければ表示されません。
avi のサムネイル表示を例に説明しますが、avi の部分を目的の拡張子に置き換えて読めば、全動画と画像共通の設定なので、必要な拡張子に以下の数値を作成して下さい。
スタート>ファイル名を指定して実行>regedit>OK>と進みレジストリエディタを開きます。
HKEY_CLASSES_ROOT \ .avi \ ShellEx \ {BB2E617C-0920-11d1-9A0B-00C04FC2D6C1}
と進み、この段階でフォルダ(レジストリではキーと言います)が無ければキーを作成します。
規定をダブルクリックで開き、値に以下の文字列を設定します。
{c5a40261-cd64-4ccf-84cb-c394da41d590}
入力が終わったらレジストリエディタを閉じます。
これでエクスプローラーを開きなおせば表示されますが、フォルダオプションで縮小版をキャッシュする設定になっていると、主導で該当ファイルを右クリックし「縮小版を最新の状態に更新」を行わなければ表示されないかもしれません。
それでも表示されない場合は念の為 PC を再起動し、それでも表示されないことを確認できた場合は、レジストリの設定に誤りがあるか、コーデックやスプリッターが入っていないか正しく設定されていないことになります。
FLV でよく起こる現象として、全てではなく一部のファイルだけ白黒に表示される。
Mpeg でよく起こる現象として、上下反転している。
全種共通として、アスペクト比が保たれない。
などが起こりえますが、Mpeg の反転は耐え難いですが、その他に関しては再生に問題ないのであれば妥協した方が無難です。
これらの問題は、コーデックやスプリッターが合っていない場合に発生します。
そのファイルの該当コーデックやスプリッターを違うものに変更すれば解決するのですが、作業としては該当の物を探し入手・インストールし、ffdshow の該当箇所を使用しないように設定することで解決すると思います。
サムネイルが真っ黒に表示されるなどは、サムネイルは動画の一コマ目を表示するので動画の最初が真っ黒であれば真っ黒になります。
コーデックを調べる MediaInfo のインストール
コーデック設定時に対象ファイルを調べるソフトを入手する必要があります。
その中でも最も有名でおすすめできるのは Media Preview です。
Media Preview に関しては別の記事で紹介してるので、こちら↓の記事をご覧下さい。
メディアファイルの詳細情報を調べることができるフリーソフト「MediaInfo」
Windows XP の Media Player の重要な設定
Windows XP 時代の Media Player には、少々わかりにくい所に重大な設定が隠されています。
Windows Media Player 11 を例に挙げると、
ツール>オプション>パフォーマンス と進むと、ビデオアクセラレータの所に詳細というボタンがあります。
PC に自信の無い人はここまで開かない可能性は高いかと思います。
開いてみると Windows Media Player の核心ともいえる重要項目がずらりと並んでいます。
筆者のお勧め設定は以上の内容ですが、トラブルが解決しなければ、ビデオミキシングレンダラと DirectX ビデオアクセラレータのチェックを外して見ましょう。
ビデオミキシングレンダラのチェックを外すと、再生画面をダブルクリックしたときに全画面表示にならなくなります。
DirectX ビデオアクセラレータのチェックを外すと、プレイヤーで画質の設定が出来なくなります。
画質の設定に関しては PC に搭載しているビデオカードによっては、ビデオカードのドライバ側で制御されている場合もあるので、環境によって大きく異なります。
オーバーレイにチェックが付いていると、プレイヤーで再生中の動画をキャプチャソフトなどで撮影できなくなります。
高画質モードにチェックを付けると、目で見てわかるほど差が無いにもかかわらず、ファイル情報が乏しい動画ファイルがほとんど再生できなくなり、エラー強制終了が多発します。
デフォルトでは全て残念な設定になっているので、ここを開いたことがなかった人は今までの苦労やストレスのことは忘れて冷静に設定してみて下さい。
各コンテナとコーデックの詳細
以下はうまく再生できなかったときに該当コーデックを理解するためにお読みください。
MP4
MPEG-4規格の一部。今までの Youtube の拡張子であったため現在の主流のコンテナ。
映像:MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4 Visual (MPEG-4 Part 2)、H.264/MPEG-4 AVC (MPEG-4 Part 10)、H.265 (H.265/HEVC) など
音声:AAC、HE-AAC、MP3、MP2、MP1、MPEG-4 ALS、TwinVQ、CELP
WEBM
H264 に代わる今後の主流で、H264 に比べ高圧縮。
Google が開発しているロイヤリティフリーのコンテナで、Matroska のサブセットを採用。
映像:VP8、VP9、AV1
音声:Vorbis、Opus
MKV
Matroska は中にファイルを入れるコンテナなので名前の由来はロシアのマトリョーシカ。
Windows 10 標準対応。Google の WebM コンテナのサブセットに採用。
webm や mp4 と共通する部分が多く主流のコンテナですが、Youtube が webm と mp4 が採用されているため比較すると知名度は低い。
映像:VFW Codec、QuickTime Codec、Motion JPEG、MPEG-1/-2/-4、H.264、H.265、WMV、RealVideo、Snow、Theora、VC-1、VP8、VP9、AV1
音声:AAC、AC-3、DTS、MP3、MP2、WMA、Vorbis、Opus、PCM、RealAudio、FLAC、TTA、WavPack
FLV
H264 より以前のネット動画の主流で、ネットでの再生にはブラウザに Flash Player が必要。
マクロメディアが開発したものをアドビシステムズ会社ごと買収。
iPhone が標準対応しなかったことから一気に衰退し、近年ではブラウザでも初期設定では無効になっている。
Adobe は Flash Player の開発と配布を2020年末に終了する予定であると発表済み。
いずれ無くなることは解かっているファイル形式だが、現在のネット上でまだ使われているサイトが多いことから無視は出来ない。
映像:Sorenson H.263 (FLV1)、On2 VP6 (FLV4)、Screen video、H.264
音声:MP3、ADPCM、Linear PCM、Nellymoser、Speex、AAC、HE-AAC、G.711
SWF
アドビシステムズが開発している規格で、FLV の上位版と思ってよい。
ブラウザ上で行うフラッシュゲームなどがこの SWF で、中身を映像と音声だけの動画コンテナとしても使えるため、稀に動画をダウンロードしたら SWF だったということもある。
現代のシステムでは SWF はコーデックでの問題ではなくセキュリティ上の問題から Windows Media Player では再生できない。
どうしても再生したければセキュリティ設定を行うことになるが、そこまでしなくても MPC-BE で再生できるためその方が手っ取り早い。
WMV
Windows Media Video はマイクロソフトが開発したビデオコーデックで、昔は PC で動画と言えば WMV か AVI の二択だった程の主流コンテナだったが現在では二軍的な存在。
コーデックは一般的に WMV と WMA の組み合わせが用いられ、公式の情報が見当たらないため対応コーデックの詳細は不明だが、映像に MP4 音声に MP3 や AC3 や AAC などを使っても問題は無い。
AVI
Audio Video Interleave(オーディオ ビデオ インターリーブ)は Windows の標準動画フォーマット
対応コーデックが物凄く多く、そのため Windows の初期状態では再生できない AVI が多い。
映像:MPEG-1/-2、MPEG-4、MS-MPEG4、WMV7/WMV8/WMV9、DV(DVSD/DVIS)、Flash Video(FLV1/FLV4)、H.264(AVC1/DAVC/H264/X264)、H.263/H.263+(H263/S263)、H.261(H261)、FFV1、Huffyuv/FFvHuff、AVIzlib、AVImszh、Theora、Indeo Video、Cinepak(CVID)、Microsoft Video 1(CRAM)、On2VP3(VP30/VP31)、On2VP4(VP40)、On2VP5(VP50)、On2 VP6(VP60/VP61/VP62)、On2 VP7(VP70)、VP8(VP80)、VC-1
音声:リニアPCM、ADPCM、MP3、AC-3、AAC、HE-AAC、FLAC、Indeo Audio、TrueSpeech、Windows Media Audio、Vorbis - VBR
ASF
Advanced Systems Format (旧 Advanced Streaming Format)はマイクロソフトが開発した AVI 後継のファイル形式。
2019年現在ではめったに遭遇することのないファイルで、以下の対応コーデックを見てもらえれば理由は明白で、WMV や MP4 で困ることが無いことから普及していない。
映像:MS-MPEG4、ISO MPEG-4、WMV7〜9、VC-1
音声:WMA、G.726、LPCM、MP3
MPEG
MPEG(エムペグ)の由来は開発グループの Moving Picture Experts Group(ムービング・ピクチャー・エクスパーツ・グループ)に由来する。
一般的に目にするのは、MPEG-1・MPEG-2・MPEG-4 の3種だが、その中で更に細分化されていてかなり広範囲の動画ファイルが MPEG に関係していて、主流のため最初に書いた MP4 もこの MPEG に含まれる。
MPEG-3 の規格は MPEG-2 の進化で吸収され消滅。
MPEG-1
MPEG-1:MPEG の始まりでビデオ CD などで採用され、古い DVD にも使われていた。
音声ファイルの MP3 をはじめ、コーデックとして使われる MP2、MP1 もここに含まれる。
MP3 Layer 3 には下位互換性がある。
MPEG-2
家電機器やデジタル放送やメディアディスクは全てがこれを使用しているといっても過言ではない。
映像:MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、MPEG-4 AVC、VC-1
音声:MP1、MP2、MP3、AC-3、リニアPCM、DTS(拡張規格:AAC)
MPEG-2 PS
プログラムストリームの略で PS。.mpg .m2p .m2ps とも表記される。
DVD・BD などに収録する際に使われる。
MPEG-2 TS
トランスポートストリームの略で TS。.ts .mts .m2t .m2ts とも表記される。
日本の地上・BSデジタル放送で採用されているため、レコーダーで保存されるファイルは MPEG-2 TS。
MPEG-4
現在の主流である MP4 がここに含まれる。
家電製品で MPEG-4 を使える物も多く存在し、ネットでも Youtube が WEBM VP9 に切り替えたものの、他の動画サイトは MP4 のままだと思われるので、今後も MPEG-4 時代は続くと思われる。
MPEG-2 との差は大きく、圧倒的に高画質で高圧縮だが、後に登場した VP9 はそれを上回る高圧縮となる。
VOB
DVD をエクスプローラーで開くと映像ファイルの拡張子が VOB になっているが、これの正体はただの MPEG-2 PS で、拡張子を mpg に変更するだけで何も問題なく使えます。
mpg のコーデックが入っていれば VOB は関連付けするだけで再生できる。
VRO
日本の家電メーカーが作った独自規格で、主にレコーダーで録画したファイルなどで使われています。
これも正体はただの MPEG で、拡張子を mpg に変更するだけで何も問題なく使えます。
但しデジタル放送を録画したファイルのコピーガードは別問題なので、ガードで再生できないのはコーデックの問題ではない。
日本では目にするが世界的に見れば存在すら知られていない拡張子なので、海外製ソフトでは VRO に対応したものは存在しない。
mpg のコーデックが入っていれば VRO は関連付けするだけで再生できる。
3GPP
3GPP(Third Generation Partnership Project)は第三世代(3G)携帯で採用されたファイル形式で、解像度もファイルサイズも小さい物しか作成できない。
現代のスマフォ時代では通信速度も上がり普通に Webm や MP4 を再生できるので、今後消えていくであろうと思われる。
後にこれを進化させた「3GPP2」が登場したが、基本的に大きな違いはない。
映像:H.263
音声:AMR
Real Media(rm)
拡張子は「.rm」か「.rmvb」で、リアルネットワークスが開発した RealVideo・RealAudio コーデック。
その後可変ビットレートに対応した「rmvb」も登場する。
ストリーミングの先駆者で一気に広まり、Windows 2000 の頃までは結構出回っていた拡張子で、Windows XP の時代に徐々に衰退していって現在となってはネット上では見ることが無くなった。
元々無くては困るような魅力が無く、それに加えてリアルネットワークスがアメリカの会社であるにも関わらずマイクロソフトと対立し、異常なまでに権利に厳しいスタイルから個人のフリーソフト作成者までを訴えたこともあり、世界に嫌われたというか扱いにくい物として認識が広がり、今では Real Media で動画を配信しているサイトなど存在しない。
しかし同社が開発するこれを再生するための Real Player は未だに開発が続いており、一体何のために続いているのか謎の多いコーデックである。
Quick Time(mov)
アップルが開発しているマルチメディア技術で、動画の拡張子は「mov」。
専用プレイヤーをインストールしなければ観れないというスタイルは Real Media に通じるものがあるが、こちらはあの iPhone や Mac でお馴染みのアップルだけあって、これらの端末では今でも使われることがあるらしい。
実際にはもう過去のコーデックで、現在ネットでこのファイルに遭遇することはない。
以前は Quick Time Player をインストールして観るものだったが、2016年4月に QuickTime Windows 版のセキュリティアップデート提供が終了し、公式には Windows に非対応ということになる。
サイト運営側としては、Mac 専用サイトでしか使えないコーデックで配信するわけにはいかないので、当然ながら動画コーデックとしては消滅に向かうと思われるが、Quick Time その物は Mac ユーザーには他にも使う API なので消えることはないでしょう。
mov は優秀なコンテナだったため残念であり、動画・音声・テキストトラック・チャプタトラック等を含むことができ、映像や音声どちらかだけを収納することもできる柔軟性がありました。
本当にお疲れ様でした。
以上で観れないファイルを探す方が難しい無敵の環境が整ったと思います。
恐らく途中で脱落された方も多いかと思いますが、ゴールされた方は本当にお疲れのことと思います。
サイトで1記事読んでここまで疲れることができるのは大変貴重な体験だと思うので、是非達成感を味わうと共に観れるようになった動画ファイルをお楽しみください。
この記事は新種のファイルが登場すれば随時更新しているので、またいつか問題が発生したときにはこの長文地獄へお戻り下さい。